眼帯×CHOCOLATE

いくら頭の中で答えを探しても、出て来る筈もない。それどころか謎は深まるばかり。

あんなに楽しそうにしていたのに。あんなに笑っていたのに、どうしてだ?


「…は、何だっつーんだよ」

戸惑いの色を隠せない、俺の気持ちを代弁してくれるかのように、爽がぽつりと呟く。


虹を、本当の弟みたいに

一番可愛がっていた爽


恐らく相当なダメージを受けているのだろう。普段の爽からは想像出来ない、覇気のない震えたか細い声だった。

「……なに、か」

一度視線を下に落とし、虹は自分の髪の毛を指に絡ませる。それは、一緒に居た時によく見せていた癖。

「暇潰しっスかね?」

吐き出される言葉に、熱は篭ってなかった。顔を下に向けている所為で、表情も読み取る事が出来ない。


「…虹」

再び耳に届いたか細い声。

眼球だけをゆっくりと横に動かすと、拳を固く握り締める爽の姿が、朧げに飛び込んで来た。俺も、爽と同じ気持ちだ。

こんなのってねえだろ…


「先輩達はバカっスよ。どこの誰かも解らないボクなんかに構って、信じて、ほんとバカっス」

パッと顔を上げた虹は満面の笑顔で、徐に体育館倉庫の方を指差す。