これまた毒々しい程にペイントされた、体育館の入り口が嫌でも目に付く。

その周りには既に倒れている奴らがいる事から、先輩達が道を開いてくれていたのだと理解した。

「マジで頼れる先輩じゃん!」

口笛と共に吐いて出た言葉に、一瞬だけ鋭い視線が突き刺さって来た事には気付かなかった振りをして。走ることに集中する。


「ミッツン馬鹿でー」
「うっせハゲ!てか!蒸し返すのヤめて?!あとが怖いから!」

走りながらの遣り取りにも、精が出るってもんよ。だってこれからテコ入れバトル展開じゃん?最初はラブコメしてたのに、アレッいつの間にかバトル?みたいなアレじゃん?

「―――」

いや、ラブコメしてなかったわ。

「いい加減にしなよ?ミツ」

背中が、めっちゃ怒ってる。めっちゃ切れてる。正直、今一番ピンチなのは俺じゃね?

なんて、

色んな意味でビクビクしながら体育館の扉を蹴破ってみると。中は意外にも普通な感じで。けど、倉庫の周りには新たに集められたのか、数名の柄の悪い奴らが居る。

「ま、そう簡単には奪取できねーよな?」
「たりめーよ」

ベルトに差していた警棒を取り出し、俺は爽と目を合わせた。そんな俺達の目の前には、銀髪の頼れる我が校のトップ。

「気合い入れてけよ」


響く凛とした声に

手に握られた包み紙

銀ちゃん、本気モード。こりゃ俺達の出番はないかもしんねえな。マジで。