顔に付着している血液には、不釣合いな嬉々とした笑い声がグラウンドに響く。

「三嶋君、体育館倉庫だって。あはは、今時ベタだよねー」

爽やかな笑顔を振り撒きつつ、先輩はもう一人放り投げて来た。その奥では椎名瑞樹が暴れているのか、やられている奴の悲惨な断末魔が聞える。

「僕達は余裕だから、早く助けてあげなね?きっと待ってるよ」

ふわりと目尻に皺を寄せ、先輩は手を上げて後押しをしてくれた。


――こっちは気にせずに行け

そう、聞えたんだ。





「…ほんと、頼もしい事」

本音半分、呆れ半分と言った銀ちゃんの声に思わず苦笑する。


争い合っていた関係が、

今では一緒に戦う仲間


勿論、両者に言わせると「違う」と断固拒否をされてしまいそうだけれど。俺には確かにそう感じた。

「うっし!場所もわかったし急ごうか!要と瞳ちゃんが待ってる」

パンと手の平と拳を合わせ、

声を張る爽に振り返って頷く。そんな俺の様子を見ながら、銀ちゃんは薄く笑みを浮かべて指差した。


「……あそこだ」