眼帯×CHOCOLATE

見えているのかはわからなかったけれど、もう一度微笑んだ。瞳を少しでも安心させたくて。

そんなアタシの想いを汲み取ってくれたのか、瞳は涙を堪え声を唇に乗せた。

「さ、佐久間くんは裏で危ない事をしてるって、皆が噂を…」




ギイ、と。耳障りな音が鳴る。

「お喋りはそこまでっス」

薄暗い部屋に差し込む光。そのまぶしさに、やっと慣れてきていた目が眩んだ。この声は、やっぱりそうなのよねえ。

大きく脈打つ心臓が、答え。


「……虹」

アタシの呟きに反応をする事もなく、虹はゆっくりと近付いて来る。その手に握られているのは、…アタシのスマホ?

「先輩達には、餌になって貰うっス」

そう言って虹は、アタシと瞳にカメラを向け、慣れた手付きで操作をしていった。写真を撮られた。と、なると。添付先は、


恐らく銀さま。

自分の軽率さに吐き気がする。後悔したって、もう遅いけど。それでも、

もっと慎重に行動していれば、銀さま達を巻き込まなくて済んだかもしれないのに…




「何でよ、……虹!」

声を荒げて虹の姿を真っ直ぐに見据える。けれど、虹は視線をこちらに向けようとはしなかった。

「あんなに楽しそうにしてたじゃない、虹」

蘇るのは、楽しかった思い出。楽しんでいたのはアタシ達だけだったの?ねえ、虹。







「アンタの声を、聞かせてよ…」