眼帯×CHOCOLATE

ふと目に入った、男のピアス


「……アンタ、それ」

アタシの言葉に男の足が止まる。そして、ゆっくりと振り返ったその顔の表情は。何処か見覚えがある気がしてならないものだった。

「あーあ、失敗。そういえばこのピアス、先輩に貰ったんだっけ」

指で弾いて揺らされた、ピアス。王冠と地球をモチーフに作られた、アタシの好きなブランドのピアス。それは、だって、その色のは…

「外しとくべきだったっスね」


声色が変わる

笑顔が、重なる


「なん…で、あ、……虹」

親指を目元に押し当て、ぐっと力を入れると。現れたのはナキボクロ。


「ど、どうして虹が白鳳学園に居るのよ!どうして!瞳を…!」

そこまで叫んだところで、アタシの意識は途切れてしまった。覚えているのは、頭に与えられた衝撃と、虹の寂しそうな笑顔だけ。


「ごめんなさい、先輩…」

だから、

この言葉はアタシの耳には届かない。

虹はいつから騙していたのだろう。笑顔も、笑い声も、全部嘘だったのだろうか?そんな疑問ばかりが頭に浮かんでいた。


虹のSOSに気付く事もなく。