眼帯×CHOCOLATE

黒凰の生徒というだけで、喧嘩を売られてもおかしくない筈なのに。睨みをキかしてくるだけで、接触して来ようとはしない。

明らかに不自然だ。

これはきっと何かの罠。けれど、行かなければならない。そうしないと瞳は…


「もう少しだからね」

胸に手をあて、祈る様に呟いた。そして、足を一歩一歩踏み入れていく。味方なんて一切居ない、完全アウェイの敵陣へ。




「アンタが三嶋要?」
「……そうよ」

グラウンドの、丁度半分ぐらいを進んだところで、背後から声をかけられ足が止まった。

赤毛の短髪、薄い眉、曲がった口元。明らかに、ガラの悪そうな奴といった印象の男。

「ついて来なよ。オレが鬼島サンの所まで案内してやるからサ?」

男はそういって歩き出す。アタシは言われるままに、その後ろを少し間を空けて、警戒しながらついて行った。


鬼島 涼二

それは、白鳳学園のトップだった人物。そんな奴がなんで瞳を?どうしてアタシ達なの?

潰したのは椎名瑞樹だというのに。いや、そんな事は関係ないのだろう。それに今のトップは紛れもなく銀さまなのだから。

今は瞳の事だけを考えればいい。そう、思った時だった。