眼帯×CHOCOLATE

白鳳学園といえば、椎名瑞樹が潰した筈。それが何で今更?しかも何でアタシに?

次から次へと押し寄せて来る焦りと不安を振り払うかのように、頭を左右に振って写真を握り締めた。


「行くしか、ないわよねエ」

瞳が浚われてしまっている以上、放ってなんかおけない。助ける事が出来るのは、他でもない自分だけなのだから。

「どうか無事でね、ひぃ」

もう一度だけ写真に目をやり、家を飛び出した。呼び出された白鳳学園に向かって真っ直ぐ、真っ直ぐに。




「―――」

日差しがやけに眩しい。

こんなに走ったのはいつぶりだろう?公共の乗り物を使おうと思ったけれど、元々遠くもない場所だし、もし誰かに会ってしまったらと思い止めた。

汗がシャツと肌を張り付かせ、不快感が広がる。けれど、そんな事を言っている場合ではないと無心に走った。

いつもは綺麗に編みこんでいる髪の毛も、下ろしたまま。




「…ハア…はァ…ッ」

白鳳学園

見かけは自分達の学園と然程変わらない、如何にもヤンキー共の巣窟といったところ。

派手にペイントされた門や壁に、荒れ放題のグラウンド。そして人相の悪い生徒達。