――お化け屋敷

如何にもな。おどろおどろしい看板が目に入り、ピタリと足が止まる。

「いや、一番最初にお化け屋敷とかおかしくね?!てか!ヤローで入っても面白くなくね?!逆にキモくね?!」

思ったより大きな声で叫んでしまった俺のもとに、銀ちゃんが素早く近寄って来た。と、同時に後退する自分の足。

「ミツ、黙ろうか?」
「ハイ、スミマセンデシタ」

何でさっきからちょいちょいカタコトなんだよ。と、爽達に笑われたけど。俺の心ここに在らず。だって俺、もう既にお化けより怖いもの見たもの。目の前にいたもの。

――大魔王。

そんな大魔王の後ろ姿を見ながら、俺は一抹の不安を抱えていた。


俺、今日もしかして、

弄られ担当じゃね?


「つうか、いつもじゃね?」

ちょっとおおおお!マジ冷静に突っ込むの止めてくんない?!ほんと、止めてくんない?!少おーしぐらい希望持たせくれてもいいだろうが!一回ぐらい!後生だから!

「ミツ、早く」
「そうよ、早く来なさいよー」
「先輩!置いてくっスよ」
「ミッツ~ン」

チックショオオオオ!

もう知らん!もう開き直ってやんよ!思う存分弄り倒すがいい!バッチこいやあああアア!…なんてね、イキがっていた頃が俺にもあったんですよ。ははは、

まーそれからの展開は早かった。

俺の履き違えた気合いを受け取ってくれた皆は、思う存分に俺を弄り倒して、思う存分オモチャにし、俺の反応見て楽しんでたからね。あの鬼畜ヤンキー集団!