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青い空、白い雲。心地良い風、


「誰ひとり約束通りにきやしねえ!」

ポケットからスマホを取り出した俺は、時間を確認して吠えた。

土曜日の昼下がり、いわゆる遊園地と呼ばれる場所で。まさかの男一人とか虚しすぎるくね?恋人やら家族連れやらのリア充共がキャッキャウフフする場所ですよ。

虚しすぎじゃね?

「現地集合ってのが不味かったかな」

ガシガシと頭を掻いて、俺はその場にヤンキー座りでしゃがみ込んだ。

いやいや、ない。これはない。もしかして皆で俺をハメようとか、そんなアレはないよな?ないよね?ないでしょ?!

嫌な、仮説が脳裏を過る。

爽達はありえたとしても、きちんとしている銀ちゃんが時間に遅れるなんて考えられない。と、いう事はやっぱり…


「何、百面相してんだ」
「どひっ?!」

声のする方に顔を向けると、そこには銀ちゃんと虹が立っていた。

「さっきそこで虹に会って、遅れた」
「先輩ごめんなさいっス」

ぺこりと頭を下げる虹と、飄々としている銀ちゃん。取り敢えず、騙されてなかった事がわかっただけでも俺は嬉しいよ。うん。


「爽と要はまだなのか?」

気怠そうに言う銀ちゃんに、俺は頷いて答える。そんなやり取りをしている俺達の後ろでは、虹がゲートの前ではしゃいでいた。

「早く中に入りたいっスねー」
「つうか!お前のリクエストなのに遅れるとか、どんなミラクルだよ!」

今にも飛び込んで行きそうな虹にツッコミを入れると、あははと笑って流された。いや、流される意味がわかんないんですけど!