「ミツ、俺が遊んでやるよ。一緒に勉強、…しようか?」
髪を拭いていた筈のタオルを、徐に胸の前で伸ばしたり縮めたりしている銀ちゃん。やべーよ。これ確実に殺られんよ。
「先輩、どんまいっス」
「骨ぐらいは拾ってあげるわよ」
やべーよ、誰も助けてくんねーよ。アッ!そうだ!最後の良心!瞳ちゃんは…
「宿題があるからって、自分の部屋に戻っていったっけな」
やべーよ、最後の良心一瞬で粉砕したよ。しかもやっぱりで漏れてんのな!心の声!
「…さあ、ミツ。はじめようか」
この日、酔い潰れている爽の隣に。酔ってもいないのに屍と化した金髪クソ野郎が横たわる事になったのは、言うまでもない。
「俺、マジでこんなんばっか」
なんて言う虚しい呟きに、誰一人耳を傾けてくれなかった事も、言うまでもない。
そして、
「そう言えば佐久間君って、あの佐久間君じゃないよね?」
瞳ちゃんが自室で呟いていたこの言葉も、誰の耳にも届いてはいなかった。
後にこれが、俺達の関係に大きく響いてくるとも知らないで。



