「ああ、瞳ちゃん帰って来たのか?」
ひとみちゃん、
おっと。銀ちゃんの口から女の子の名前が飛びでたよ。めっずらし~
この様子から察するに、銀ちゃんはもう面識があるみたいだな。俺は要ンちはじめて…って、そっか。前に銀ちゃんが三嶋兄妹助けたんだっけか。
「さっき帰って来たみたいで、……あ。銀さま?このケーキ、ひぃが昨日作った奴なんだけど食べてあげて貰えますか?」
かしこまっている要も珍しい。兄の顔って奴かな?…いや、見た目完全に姉だけど。
「ちょっと充、漏れてるわよ」
「ッへブし!」
要の言葉と同時に、レモンティーがたっぷり入ったペットボトルが音速でブッ飛んできた。ねえ、俺の顔面、肛門みたいになってない?大丈夫?息してる???
「か、要ちゃん」
ごとっと大きな音を立て、俺の顔からペットボトルが落ちた瞬間。目の前に、要そっくりな可愛らしい女の子が現れた。
思わず、呆けてしまう。
「あ、皆さんこんにちは!妹の瞳です。えと、フォークを…」
「ありがとうね、ひぃ。そうだ!せっかくだから、ひぃから銀さまにケーキ渡しなさいよ」
「…っ!」
要の言葉に、瞳ちゃんはフォークを手から滑り落として固まる。おや、おやおや。
これはちょっと俺、わかっちゃったかもしんねーよ。流石に気付いちゃったかもだよ。



