眼帯×CHOCOLATE

 
「あ、本当に見学に来ただけっス。自分が入ろうと思ってる学校が面白くなかったら嫌じゃないっスか?だから、自分の目で確かめに来たンス!」

この場に来てから、ずっと笑顔を絶やさない少年に、銀ちゃんは小さく溜息を吐いた。

「それなら、いいけど。此処は危ないから早めに帰れば?」
「ンッふふ、心配ないっス!だってボク、先輩達の後ろにくっついて行動するんで」


――間、と間。

飄々と言い放つ少年に、銀ちゃんを筆頭にして俺達はあっ気に取られる。




「…てか、アンタよく無事に此処まで入って来れたわね?一応、うちの制服着てるみたいだけど」
「制服は従兄の兄ちゃんに借りたんスよ。此処の卒業生なんで。それと俺、誰にも気付かれないように色んな所に忍び込むの得意なんっス!」

やっぱり忍者じゃん。

という突っ込みは心に留めておこう。つか、どうせだだ漏れなんでしょーが!

「まあ、残念なミッツンは置いといて。虹だっけ?何したい?」
「おい、爽…」
「いや!ホント待って爽ちゃん?!」

軽く俺を傷つけながら、爽は少年の頭を撫でた。そして、そんな爽に眉を寄せる銀ちゃん。

「イイじゃん、銀。なんかコイツ、俺ンちで飼ってた犬に似てるし放っておけねンだわ」
「……お人好し」

ねえ、その優しさを爪の甘皮ほどでも良いから俺に恵んでくんない?そろそろ俺にも優しくしてくんない?圧倒的に愛情不足…


「先輩、漏れてるっス」

ウン、ちょっと心を閉ざすね?