眼帯×CHOCOLATE

焦りまくっている俺を置き去りに、少年は立ち上がって銀ちゃんの方へと足を進める。

「東雲先輩!この学園のトップ!そして幹部の甲斐さんに、鳥海さんに三嶋さん!」

にこにこ、にこにこ、

やっぱり笑顔は絶えない。触ると柔らかそうな栗色の髪の毛を弄りながら、少年は更に続けた。

「ボク、佐久間虹デス!虹って書いてコウっス!中学三年生、来年からこの学園に入ろうと思って見学に来ました」

にこにこ、にこにこ、

つうか見学?!いや、確実に勝手に来てるよね!アポとか無しの方向だよね!忍び込みの方向だよね?!ワオ!珍しく俺がまともに突っ込んでる!







「目的は、何?」

冷たい声で一瞥する銀ちゃん。

ん?あれ、なんか今までの俺のアホみたいな突っ込みが、マジでアホみたいじゃね。まともかと思ってたけどやっぱりアホじゃね。

「いや、元からアホだろ」
「いや、元からアホよね」

ハゲとカマ野郎オオオ!冷静に突っ込まれると益々虚しくなンだろーが!が!俺だって!シリアスしたいの!混ぜて!


「黙れ、ミツ。で、本当に目的は何?佐久間クンだっけ」

あ、ハイ。(二回目)

銀ちゃんも酷いよね。うん、酷いよ。でも、もう何も言わない。言える雰囲気じゃない。俺なんか所詮、空気野郎だもの。

そんな、空気野郎は無視して。話はスムーズに進んでいく。俺、主人公なのに…