眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆

黒凰学園、三年生教室


「なーんか、楽しそうだね?」

窓に映し出される後輩の姿を見て、思わず零れる声。そんな声に反応する事もなく、男は目に手をあて寝転んでいた。

「ねえ、瑞――」
「負けてもうたんやな」

いつもの彼からは、想像も出来ない程の弱々しい声に、言葉が詰まる。

「…完敗や。俺、悔しかったんや、……アイツ、俺が出来んかった事をやろうとしてて、実現させよって、…自分があまりにも無力に思えてもて…」

そっとずらされた指の隙間から見えるものは。深紅の瞳に、透明な雫。






「こんな筈や無かったのに…」
「瑞樹!」

逆に、いつもの彼からは想像出来ない程の強い声が、空っぽの教室に響いた。

「取られたなら、また取り返せばいいだけの話じゃない?」
「―――」
「そうやって、僕たちは闘っていくんだ」

「生きていくんだよ」


一歩、
二歩、

狭まる距離




「僕はずっと瑞樹の味方だから」