眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆


「――ん…」

眉間に皺を寄せ、頭を押さえる銀ちゃん。どうやら、やっとでお目覚のようだ。

「銀ちゃん、大丈夫か?」

ひらひらと手を振りながら声を掛けると、銀ちゃんは慌てて起き上がり、ぎこちなく俺の方へと顔を向ける。

「僕、もしかして…」

見るのも可哀相なぐらい、申し訳無さそうな表情の銀ちゃん。そんな幼なじみに、俺はニカッと笑ってわしゃわしゃと頭を撫でた。

「大丈夫だって!」
「…ミツ」

あらヤだよ。

ビー玉みたいなおっきな瞳がウルウルと。今にもその欠片を落っことしてしまいそうな銀ちゃん。ホント、泣き虫だなあ。


「頭痛いから、寝たい…」

って、ソオオおおい?!え、ちょ、ま、…ハァン?!それは結構あんまりにも酷くね?!イレギュラー過ぎじゃね?!なんか!もうちょっと!こう!さあ?!

などと、ギリギリ喉の奥で飲み込んだ絶叫なんてつゆ知らず。銀ちゃんは、小さく欠伸をしながらベッドのなかへと再び身体を沈ませていった。え、マジ寝です?俺、置いてけぼりの刑です?

「ぎ、銀ちゃーん?」
「―――」

マジ寝だよオオオオ!俺完全に可哀相な子だよ!せめて誰か突っ込んでくれないかな!こんな時に限って保健医どこ行ったチックショオオオオ!俺を一人にしないでお願い!今日の給食のプリンあげるから!なんなら牛乳もオマケでつけるからア!


「…つってな」

幾ら脳内で叫んでいても仕方がない。零れる溜息を隠しもしないで、俺は静かに空きベッドに腰を下ろした。

「何でこうなるとわかってて、チョコを食うかね?」

さてさて。

画面の前の読者のみなさん。そろそろお気付きだとは思いますが、銀ちゃんには“ある”特殊な性質があるんです。それは、

チョコレート

あの、甘い糖分の塊みたいなやつ。これを食べると銀ちゃんは、某ドーピングコンソメスープが如く超変身をしてしまうのです。あ、いや。別にSHU英社の回し者じゃねえのよ?愛読書がジャンプとかそんな。

そんな!