眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆

陽は完全に沈み、空には月が出ている。ギャラリーの生徒達はもう誰も居なくなっており、残されて居るのは俺達四人だけ。

あの後、崩れた椎名瑞樹を唯一支えたのは野々上先輩だった。そして、


『これは、君のだよ』

先輩は銀ちゃんにブレザーを手渡し、小さく微笑んだ。その顔が、忘れられない。


先輩は、何を思って笑ったのだろう?

真意は解らない。でも、一つだけ確かな事がある。椎名瑞樹は大丈夫だって事。だって、先輩がついているのだから。






「やっと返って来たな」

銀ちゃんの肩にかけられているブレザーを見ながら、俺は笑った。爽も要も、満足そうな顔をしている。

「……デカイし」

ボソリと、不満げに。不機嫌オーラ全開で呟く銀ちゃんに、再び笑みが零れた。

「ぶっは!先輩仕様にされてンじゃん」
「あー、ホントだな」
「で、でも…!彼シャツ?みたいな感じでカワイ…いや、まてゴルァアアア!誰の彼シャツじゃァアアアア!」
「わー!もう要落ち着けって」
「でひゃひゃひゃひゃ!」

「…うるさい」

やっぱり、こんな何気ないやり取りが嬉しい。みんな、皆、笑ってる。――心から。