◆◆◆
あの事があってから、
ろくに学校に行ってなかった俺達。
久しぶりの黒凰学園の荒れようは酷いものだった。そこら中で喧嘩をしている野郎共。教師は殆ど居ない。放棄してんだな…
「あと五分で五時ね」
腕にはめられたゴツイ時計を見ながら、要が時刻を告げる。銀ちゃんは俺達の一歩前に出て、空を見上げていた。
表情が見えないから少しだけ不安になる。
「しっかし酷いなオイ」
しみじみと吐き棄てる爽に、俺と要は頷くしかなかった。ほんと、酷いなんてもんじゃない。たった数日、数週間で、ここまで世界は反転するのか。
「元に、戻してみせるさ」
くるりと方向を変え、銀ちゃんは俺達を一人ずつ見ていく。その瞳を見て、安心した。多分、二人も同じ事を思っただろう。
「まあ、黙って見てろな?」
僅かに口の端を持ち上げ、銀ちゃんは再び方向を変えた。ああ、良いタイミングだ。
「おでましだな」
「そうみたいねエ」
まだ、ガラスが割られたままの状態の正面玄関。そこから現れる複数の影に、空気が変わっていく。変えられていく。
「銀」
「銀ちゃん」
「銀さま」
「……任せとけって」
あの事があってから、
ろくに学校に行ってなかった俺達。
久しぶりの黒凰学園の荒れようは酷いものだった。そこら中で喧嘩をしている野郎共。教師は殆ど居ない。放棄してんだな…
「あと五分で五時ね」
腕にはめられたゴツイ時計を見ながら、要が時刻を告げる。銀ちゃんは俺達の一歩前に出て、空を見上げていた。
表情が見えないから少しだけ不安になる。
「しっかし酷いなオイ」
しみじみと吐き棄てる爽に、俺と要は頷くしかなかった。ほんと、酷いなんてもんじゃない。たった数日、数週間で、ここまで世界は反転するのか。
「元に、戻してみせるさ」
くるりと方向を変え、銀ちゃんは俺達を一人ずつ見ていく。その瞳を見て、安心した。多分、二人も同じ事を思っただろう。
「まあ、黙って見てろな?」
僅かに口の端を持ち上げ、銀ちゃんは再び方向を変えた。ああ、良いタイミングだ。
「おでましだな」
「そうみたいねエ」
まだ、ガラスが割られたままの状態の正面玄関。そこから現れる複数の影に、空気が変わっていく。変えられていく。
「銀」
「銀ちゃん」
「銀さま」
「……任せとけって」