「銀ちゃん!」
俺は立ち上がり、銀ちゃんを真っ直ぐに見た。そんな俺に対して、銀ちゃんもまた真っ直ぐな瞳で返してくれる。
「あのさ、俺、…マジで余計な事したかもしんねーけど、でも、」
そこまで言って、手で制止された。全部、わかってるよって空気で。表情で。
「ありがとう、ミツ」
ふわり、
良い香りと共に銀ちゃんの手が俺の肩に触れる。懐かしい、嬉しい、くすぐったい。
「明日、俺の戦い見てて。絶対に勝つから」
意志の込められた声に、爽と要も力強く頷いた。明日、全ての決着がつく。
「ミツにばかり、格好イイ真似はされたくないし、…ね?」
ふっと笑う銀ちゃんに、軽くなる心。
銀ちゃんは笑えてる。こんな事を思うのは、オカシイのかもしれないけど。俺は先輩達にもいつか笑って貰いたい。
先輩と椎名瑞樹の過去の話。
野々上先輩から聞いた、椎名瑞樹の本当の思いは皆には伝えてなかった。俺が、言うべき事では無いと判断したから。
「銀ちゃんなら勝てるよ」
「ああ」
様々な思いを乗せて、明日全てが終わり、――始まる。