眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆


「なあ、なんで親父は先輩と知り合いだったんだ?」

ぽつり、ぽつりと並ぶ外灯に照らされながらの帰り道。そう言えば、親父とこうして肩を並べて歩くなんて久しぶりだ。

「ああ、恵君の親父さんと知り合いでなー。よく稽古に付き合わされてたんだよ」
「は?付き合って貰ってたの間違いじゃね?」
「みぃーつーる?」

俺、また、地雷を自らのスパイクで踏み抜いでダンシングしてるんじゃないでしょうか。ほんと、懲りないね、俺。ウン。

「…ハア」

薄暗い道に、外灯と月明かりで出来る影が二つ重なる。




「おっ、溜め息!お前っつーガキはほんと生意気な!生意気太郎な!あ、名前太郎にすれば良かった!」
「ちょ、マジ勘弁!」

首に絡まっている腕の力を強められ、俺は声を荒げた。本気で息子を落とそうとする親とかどんなだよ!

「ま、そんなところも若い頃の俺に激似なんだけどなー」
「いや、俺は母さん似です」
「このまま落とすぞ」

だああかああらアアア!

既に落ちる五秒前です!マジで恋する五秒前!アレッ!なんか違くね?!懐かしいド昭和のニオイがするくね?!

「…っだあ!うっぜ!」

やっとで解放されて、げほげほと咳き込みながら俺は親父を睨んだ。けど、


「強くなったじゃねえか、充」

ぽんと優しく頭に乗せられた手の平に、目蓋が落ちる。何だよドチクショウ。不意打ちとか止めろよな。

「流石は俺の子、ってか?」
「―――」

辺りが薄暗くて良かった。きっと今、顔が赤くなってると思うから。