眼帯×CHOCOLATE

◆◆◆

静かな室内には、

季節の虫の鳴き声が聞える。

親父の一言が切欠となり、俺と先輩は真剣勝負への準備に入った。コートを挟んで向かい合い、面の紐をキツク締める。

チラリと視線を投げれば、月明かりに浮かぶ先輩の凛とした姿。

初めて試合に出た時のような、そんな緊張感に襲われた。冷静な先輩の姿を見れば見るほどに、鼓動は早くなる。

審判をしてくれる親父。その親父の顔も、先程までのニヤけたものや鬼の形相でもなく、一人の剣士の顔になっていた。



俺は、勝てるだろうか?

いや、勝たなくてはならない。絶対に勝つんだ。俺が俺の守りたいものを守る為に。

きっと先輩も同じ気持ちなのだろう。だからこそ、この剣道での真剣勝負に乗ってくれたんだと思う。


「二人共、準備はいいか?」

親父の低く固い声が響いた。

「はい」
「おう!」

二人の返事が重なり合い、全ての準備が整う。ゆっくりと、その感触を確かめる様に左手に竹刀を持ち、礼をして足を進める。

金属の格子から見える姿は、