眼帯×CHOCOLATE

使用人さんが退室して数分後。


「おーう、馬鹿息子!」

陽気な空気を身に纏い、黒のジャージのセットアップで現れたのは、俺の親父。

甲斐 実、――剣道七段







「恵君もひっさしぶりだな。元気だったか?」
「ご無沙汰してます、甲斐さん」

あれ?

てか、なんか、知り合いげじゃね?なんか、取り残されてね?置いてけぼりじゃね?

「ん?何だあ、充は呆けて」
「ああ、きっと僕と甲斐さんの関係がイマイチ掴めてないんだと思いますよ」

ピンッポーン!さっすがセンパイ!

「…って、オイイイィ!何で親父と先輩が知り合いなんだよ?!なにか?!これは新手の罠かなんかなのか?!陰謀?!教えて神様アアア!!!」

せっかく綺麗に纏め上げていた頭から、手ぬぐいを外して思わず床に叩きつける。そんな俺の様子を見て、二人は目をパチクリとさせた。

「初めて会った時に、僕言わなかったっけ?“キミのお父さんのファンなんだ”って」
「ンがっ!」

そう言えば、先輩はそんな事を言っていた、ような、気が、す…る……

「ぶわっはは!我が息子ながらホンっと馬鹿な!充馬鹿な!バーカバーカ!ぷぷっ」

クウウソオオォオヤジィイイイ!木刀で力の限り殴んぞ!いや!でも勝てないな!ウン!でも!一回ぐらい?!冒険して、いや…いやあ…


「おーい、充?漏れてんぞー。お父さんヤッちゃう計画漏れてんぞー?……まあ、受けて立ってやるけどな」