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あの日から僕達は、

ゆっくりと時間を掛けて仲良くなっていった。瑞樹から言わせると「そんな事あるか」って感じなんだろうけど。

そしてどちらから言うわけでも無く、同じ高校に進みそれなりの毎日を過ごしていた。地元でも有名な不良高校。瑞樹は喧嘩に明け暮れていたけれど。

そんな中で、ふと真剣に話してくれた事があった。


『たまに、自分が恐くてしゃーない時があるんや。俺も兄貴と同じなんやないかって。俺もいつか人を殺してしまうんやないかって』

それは、彼が僕に零した最初で最後の弱音だった。僕は誓う。


『そうなる前に止めてあげる』

ねえ、瑞樹は覚えている?

この約束を。僕は忘れた事なんてない。例え距離が出来始めていたとしても。







「……忘れた事なんてなかったよ」

瑞樹の強さは尋常じゃなかった。そしてその強さは彼を少しずつ変えて行ってしまう。

黒凰学園のトップへとなった瑞樹は、沢山の人から慕われると同時に利用され、恐れられ、恨みを買うようになっていた。


そして瑞樹は僕の事を

『野々上』

と呼ぶようになり、
一定の距離を保ち始める


けれど、僕は離れようとはしなかった。