俺って本当についてない。

おっと、ネガティブな始まり方で失礼。でもさ。誰だってこんな状況に置かれたら、愚痴の一つも言いたくなるべ?

「ありえねー」

ぽつりと独り言を呟いて頭を抱えた俺、甲斐充は転校先の校門の前で既に心が折れていた。なんでかって?そりゃあ、さぁ…

「―――」

派手にペイントされた校門と壁、荒れ放題のグラウンド、そして極め付けが。

「いつの時代のヤンキーだよ…」

そう。

気合いの入りまくったヤンキー共の群れ。いや群れっつーか軍団?が、目ン玉にダイレクトアタックしてきたのだ。

短ランにボンタン。派手な髪色にリーゼント。お手製のマスクを装着し、木刀を持ってヒャッハーしてる奴なんてのも居る。え、なにこれ。世紀末?

「さ、最悪だ…」

言葉にすると、その重みもひとしお。俺の頭の中にはコマンド「逃げる」と「進む」の二択のみがピッカピッカと点滅中。ぶっちゃけ逃げれるもんならマジ逃げたい。

それでも、のがれられない現実ってやつはどうしたってあるもんで。嫌だ。嫌すぎる。けど、俺は意を決してこの黒凰学園に一歩足を踏み入れた。


はい、既にメンチ切られてるよー
はい、全力で浮いてるよー
はい、もう帰りたいよー
はい、はい、はい、以下略


不意に窓ガラスに映った自分の格好。それを確認して、人知れず盛大に溜息を吐いた。吐くしかなかった。

うん、こりゃ残念ながら確実に狩られる感じだね。イェーガーからのフルボッコだよね。

ドンマイ、俺。