お姫様と1.5人の男

お終いの筈なのに、抱き寄せられっぱなしのあたし。

離れようともびくりともしない。一体何でだろう?


「桜太、もしかして……佐宗の事が好きなのか?」

「えー!? そんな訳ないでしょ!? ていうか、離れてよ! 早く」


いや、離れたいのはやまやまなんだけど……放してくれないの。

多分言っても信用してくれるとは思えないから言わないけど。

すると黙ったままの桜太君が漸く言葉を口にする。

それはあたしにしか聞こえないような小声で。


「待っておったぞ、この瞬間を」


…………まさか、とは思うけれど。


「さあお前達! 今から結婚式を行うぞ!」


今度は皆に聞こえるような大きな声で。

やっぱりか……って、どうして何時の間に玄一さんになっているの!?