お姫様と1.5人の男

「おーのーれぇー、白雪姫めぇー……」


お芝居とはいえ、私情満載な歩子さん。鏡役の華(はな)ちゃん、思い切り怯えているよ。

しかもそれを知らないで笹川さん、歩子さんを大絶賛。

選んだのは間違いじゃなかった、と言わんばかりに目を輝かせて。


「是非演劇部に欲しい……」


ああなったのはあたしの所為だと思う。

だから演劇部に入っても、才能は嫉妬がない限り開花しないような。

鏡と魔女のやり取りのシーン直後、仲良しの華ちゃんがあたしに駆け寄ってきた。

そりゃあ誰だって怯えるよ。あんなに感情が激しく詰まっているから。


「皆も神崎さんみたいにね!」


…………嘘でしょ?