よし、言った。言い切ったぞ。これで駄目なら玄一さん、ごめんね?

ほんの少しの間もあたしにとても長く感じる。……すると。

桜太君は何故かあたしを抱きしめるではないか。え!?これってどういう事なの?


「佐宗……実はな。あのジジイがいなければ、昨日にでも言ってやりたかったんだ」


抱きしめられたまま言われても、あたしには何がなんだかさっぱりです。

とりあえず解放して欲しいんだけど、解放してくれるような状況じゃない。


「じいちゃんが、お前から何か行動があるまでは告白もするなとか言いやがって。
お前が佐宗を守りたいなら佐宗から動きがあるまでは、思いを伝えるなってな。
多分じいちゃんなりに俺を気遣っていたんだと思うけどさ。傷付かないようにってか?」


えーっと…………それは、その…………さ、薩川さん?


「その台詞を言いたいのはこっちだ」


嬉しいと喜ぶよりも先に、玄一さんに言いたい事がある。

何時から知っていたかは分からないけど桜太君の気持ちを分かっていたな?

もしかして桜太君の為にあんな事を言ったとか?んな訳ないか。