引き止めようとした瞬間、桜太君から玄一さんがいなくなるのがすぐに分かった。

ていうか。最後の最後まで、涙も流させることなくバカみたいな言葉で去っていくとは。

玄一さんらしいと言うかなんと言うか。もう天国に行っちゃったのかな?


「…………もう、終わったみたいだな」


口調からして桜太君だよね?桜太君が戻って来た。

玄一さんとの一連のやり取りを終えるまで自分は何も聞かないでいたみたい。

って事はさっきの事も知らないって事だよね?


「玄一さん、天国に帰っちゃった。桜太君にお別れも言っていないのにね」

「…………まあ、別にお別れ言えなくても良いんだけどな。あんなジジイ」


とか言って寂しいんじゃないの?とはあえて言わないでおこう。

空を見上げて2人で玄一さんを見送っていると、桜太君が一言。


「佐宗、笑い泣きしているが何かあったのか?」