お姫様と1.5人の男

『簡単な事だのう……桜が咲いていて、
その桜が大袈裟かもしれぬが今まで見た中でその時は眩しく見えてのう……
まだどっちの性別かは知りたくなかったから聞きたくなくてな。
男であろうと女であろうと、この日に産まれたら絶対に名前には
“桜”を入れようと意気込んでいたんじゃ。そしたら生まれたから驚きだったのう』


へえ……そんな由来があったんだ。桜太君も素敵な名前を貰ったね。

桜が綺麗な日に生まれたから桜の名前を貰ったんだから。


「でも桜なんて漢字、男に使うような漢字じゃないだろ?」


桜太君は自分の名前に抵抗があるのか何なのか分からないけれど、

玄一さんに反論する。すると玄一さんは実はもう1つ由来があった、と言いだす。


『儂らはちょっとした有名人。金持ちだからって差別されたくなくてのう……
名字で呼ばれれば、もしこやつが苗字に抵抗を持ったら可哀想での。
だから苗字よりもインパクトってやつかの? それがある名前にしたくてのう。
桜を使いたいって言うのは女に使うだけじゃ勿体なくての。
男で桜の名前を使った奴は見た事なかったからの……それなら珍しがって呼んでくれると思ったのだ』


そして玄一さんの願いは叶った。学校で桜太君は先生以外からは割と“桜太”と呼ばれているから。