お姫様と1.5人の男

『さーて、今度はお待ちかねの……』

「おい、本気でやめろ。ジジイ」


全ての写真を見終えた所でもう1冊の赤い本に視線を送る玄一さん。

妙に楽しそうな玄一さんとは正反対に、見られたくはないと言わんばかりに不機嫌な桜太君。

……あ、分かった。このアルバムに載っている写真で、桜太君が嫌がる物って言ったら1つしかないよね。

2人がもめ合っている隙にバサッと赤い表紙をめくる。するとそこには予想通り桜太君の赤ちゃん写真。

“19××年4月8日、桜太誕生”。真中に1枚貼られた写真の下にはそのメモが貼られていた。

へえ……可愛いじゃないの。今の桜太君からはあまり想像出来ないほどに。

あたしが写真を見ている事に漸く気付いて、桜太君は顔を赤くして写真を手で遮ろうとしてくる。

そこまで恥ずかしがる理由って一体……?


「何で恥ずかしいの?」

「それは……その……」

『人に見せ慣れていないからだのう』