お姫様と1.5人の男

あたしが玄一さんを止めるしかない。でもどうやって?

試合に割り込むなんて絶対にやっちゃいけない事だし……仕方ない。

いい訳なんて後から考えれば良いよね?真剣な桜太君やウメスケ君の事を考えれば。

互角なやり合いだからこそ、お相撲みたいに仕切り直しもあるかもしれない。

それを願って深呼吸をしてから…………


「駄目! やめてぇぇー!!」


シートから立ち上がり、誰にも負けないくらいに大きな声であたしは叫ぶ。

やっぱり皆はあたしに注目する。玄一さんもあたしにバレたと驚いたのか、

桜太君へ取り憑くのをやめた。良かった。1番の目的は果たせた……筈なのに。


「…………あ」


宮瀬君が“それ”を見て、思わず言葉を漏らす。その言葉の先にはと言えば。

桜太君の手が台についていて、ウメスケ君の手がその上にある。

つまりは、試合の仕切り直しをする事なく勝負は決まった。