お姫様と1.5人の男

「別れる……とは?」


大峰さんが思い切り首を傾げている。そうだよね。

彼から見れば玄一さんがあたしにする行動は、一方的なアタックみたいな物だもんね。

今説明するのはちょっと面倒だから後から言っておこう。


『そ……それはちょっと……』

「嫌だ! 絶対に別れるんだからね! もう出てく!」

「せ、雪佳さん……? 何の事かは分かりませんが、晩御飯の方は……?」

「…………食べる! 食べてから出てく!」


本気で別れたいのかそうでないのかが分からないまま。

出て行きたい意思も微かにはあったけれど、そんな時でもお腹は空くもので。

それに折角の薩川家のご飯。もう一生食べる事もないだろうし、最後の記念にも丁度良い。