お姫様と1.5人の男

「桜太君は休んでいて? あたしだけでも大丈夫だから」

「だが……」

「これはあたしが撒いた種も同然だから。大丈夫。ね?」


桜太君の返事よりも早く部屋を飛び出して、大峰さんがいるであろう1階のキッチンへ。

やっぱりそこには大峰さんがいて。……玄一さんもいて。

背後からこっそり狙っているけれど、大峰さんには確実に……


「前当主、何をされているのです?」

「お前……っ、見えているのか?」

「実は幽霊とか見えてしまう方なんですよね」


やっぱり気付かれているし、玄一さんも見えている事に驚いている。

ただ2人ともあたしには気付いていない様子。やりとりに夢中だからかな?

玄一さんが何かしそうになったら止めよう。それまでは、様子見で。