その日は特別、静かで風のない日だった。


「またな、湊(みなと)」


友人は皆、学校が終わると電車で街へ遊びに行く。

彼らは高校の青春を無駄にしたくないらしいのだが、毎回、僕は参加しない。


そういう気にはなれなかったし、第一、うるさい場所は好きじゃない。

僕は街で騒ぐより田舎で潮風を浴びてるのが似合っていると、自分でも思う。