彼女の手は、海水に何時間も浸かっていたかのように冷たくて。 「──着いたよ」 彼女の手が離れると、自分に体温が戻った気がした。 ここは、夏だというのに肌寒い。 身体を擦りながら足元を見ると、そこには潮溜まりができていた。