「メイク直して行くよっ」


愛美に促され、近くのテーブルに腰掛け化粧ポーチを取り出す。



気合いの入っている愛美とは裏腹に、どうしてもテンションはあがらない。


咲夜さんに会いたい気持ち。


咲夜さんのこと、もっと知りたい気持ち。


新しい出会いに期待したい気持ち。



それぞれが交差する。




最後にグロスを塗り直して、席を立ち愛美の後に続く。





夕方になるとまだひんやりとする春の風。


あんなに綺麗に咲いていた桜もほとんど散ってしまい、緑が多くなってきた。