何を話したらいいのか思い付かず、私たちは無言のまま歩いた。 だが、奥に進むに連れて桜の美しさは増していくような気がする。 ここが本当に大学の近くなのだろうか。 どこか違う世界へ迷い込んだ気さえする。 「…大体この辺がいつもの場所だな。」 しばらくすると、大輔さんは立ち止まり振り返った。 「ここ、人もあんまいねーし、俺達のサークル代々伝わる穴場なんだよ。それに、桜もどこよりも綺麗に咲いてる気がするだろ?」