だけど…… 「あれ……?」 そこには遼平さんの姿はなかった。 シーンと、嫌なほどに静まりかえる部屋。 「ごめんね、いないみたい」 あたしはひかる君に苦笑いを返した。 ひかる君は、少し残念そうな顔。 「大丈夫ですよ、桃さん」 「ごめんね、またいつか会えるよ」 あたしはそのまま、ひかる君を送るために部屋を出ようとした。 ――――だけど… 「すいません、桃さん」 「っきゃあっ………!!」 あたしはひかる君に腕を引っ張られた。 .