桃の優しさが身にしみる。 だけど… 「その心配はねぇよ」 「え…………!?」 桃はガバッと顔を上げた。 訳が分からないとでもいいたい、 そんな顔。 「幸也のヤツが実家に戻るらしいから」 「お兄ちゃんが…!?」 びっくりして、桃は目を開かせている。 どうやら、知らなかったみたいだな。 俺はゆっくりと息を吸うと、 桃を真っ直ぐな目で見つめた。 「幸也のヤツ… あのアパートから追い出されたんだってよ」 .