「………らかった…」



「え…?」




突然、固まっていたはずの桃の声が聞こえた。


だけど、その声は泣いているようで…。




「辛かった、ずっと辛かった。

本当に自分が壊れそうだった。


遼平さんの…バカ!!」



桃の叫び声は、大きなホールいっぱいに響く。

俺の胸がズキン…と悲鳴をあげ始めた時だった。




「だけど…

あたしにも、譲れない想いがあるの。



…あたしも、遼平さんが好きっ!!」




…信じられなかった。


桃が俺にキスをしてきたことが。




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