「あ…!!俺、気持ち悪くなってきたわ」
明らかに、嘘丸出しの演技をするお兄ちゃん。
あたしはお兄ちゃんが何をしたいのか疑問に思った。
「桃、先にホテル入ってな。
ちょうど二年前の遼平が開いたパーティーの会場分かるだろ?
そこで食事会あるから」
「ち…ちょっと…!!」
お兄ちゃんはあたしの叫び声を無視して、突然走り出してしまった。
残されたあたしは、ポツンと一人ホテルを見上げる。
遼平さんと別れてから、ここには一度も来たことがなかった。
悲しいあの日が蘇ってくるから。
今も何気に泣きそうなんだけど。
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