「お待たせお兄ちゃん」
「早く靴履いて外に出ろよ」
靴箱にもたれかかっているお兄ちゃんの手には、車の鍵。
…も…もしかして………。
「車で行く気なの!?」
「…あたり前だろ。
車以外でどうやって行くって言うんだよ」
あたしは言葉を失った。
忘れるわけがない、お兄ちゃんの運転。
短大の合格発表の時なんか、吐いたくらいだもん。
「…安全運転でお願いね」
「分かってるって。
桃、俺の運転に関してはうるさいからな」
お兄ちゃんはハハハと笑う。
…そう言っても運転が乱暴だから、あたしは何度も注意してるんですけど…。
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