時間が過ぎるのは早い。
夏休みなどの長い休みに入れば尚更。
「何着ていけばいいのかな?」
「なんでもいいよ。
とにかく、早くしろっての…」
あたしの部屋には、かなりの服が散らかっている。
そんな部屋にいるのは…あたしとお兄ちゃんの二人だけ。
さっきから服に悩みに悩みまくっているあたしを、お兄ちゃんは冷めた目で見ている。
「お兄ちゃん、女の子はおしゃれが命なの!!
乙女心、分かってないでしょ?」
「分かってねーけど早くしろ。
あと五分で準備しろよ」
なんだか機嫌が悪くなったお兄ちゃんは、あたしの部屋を出て行った。
あたしは無言でその姿を見送ると、近くにあった黒のワンピースを着て部屋を出た。
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