「遼平ならそうすると思ったわ。

…自分を犠牲にしてでも、大切なものを守るって」




そう呟くと、美香は俺の腰に抱きついてきた。


さっきまで感じていた、桃の体温じゃない。

そう感じた俺は吐きそうになっていた。




「だから、必要以上に俺に近づくな。

身体の関係はあっても、俺は心まではお前には渡さねーから」




俺はそう言い捨てると、美香の腕を腰から離してこの場を去った。


これから俺には、桃の荷物の整理が待っている。





―――桃。


俺はお前を最後まで守りきることができなかったな。

本当にごめんな。




俺は桃を手放す―――



好きだから、


愛してるからこそ手放すんだ…。




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