短大の校門に近づくと、校門にすがっているような人影が見えた。


あれ、桃だな。



俺は桃の前に車を止めた。

当の本人は俺のことに気が付いていない様子だった。



「もーもっ!」



「きゃっ…!!

って、遼平さん…!!」



桃は運転席にいる俺を確認すると、笑顔で助手席に乗り込んだ。


今日の桃は、いつもに増して笑顔だ。



「今日、久しぶりのデートで嬉しい!!」



隣で車を運転する俺に、笑顔で話しかけてくる桃。

俺は桃に気付かれないように左手で握りこぶしを作った。




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