「眩しい…」

突如として差し込んだ太陽光に、僕は眉間にくっと力を込めた。

「また、そうやって眉間に皺よせて…今日ぐらい早く起きなさいよ、お寝坊さん。」

懐かしい声だった。
声がした方を見て、僕の眠気は消え去った。

「俺…死んだ…?」

嘘、いつの間に?と僕が混乱しているのを見て、彼女はクツクツと笑う。

「んなわけじゃん、今日が何の日か忘れたの?」

彼女の言葉に弾かれたように、僕は携帯の画面で日付を確認した。
そして、納得。

「嗚呼、今日は…」

そこまで口にして、情けないことに、僕は背中を丸めて泣いた。

「そう、私が死んだ日。」

言葉を紡ぐ事が不可能な僕の代わりに、彼女は静かに言い切った。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を上げると、彼女と視線が交わった。
僕の顔を見て、彼女は一言。

「ひっどい顔っ!!」

吹き出して笑い転げる彼女を見て、思わず僕も一言。

「君は綺麗だね…」

本当に生きていた時と変わらず、彼女は綺麗だ。
僕の言葉に、彼女はゆっくりと僕の手を握りしめて言った。

「ただいま」

僕は、自分は起きたまま夢を見ているんだと思った。
夢のまた夢を。