前川くんのけがは思ったよりも軽くて、もう少しで退院できるらしい。 あたしはずっとお見舞いに行ってる。 今日も。 学校が終わってから、前川くんの顔を見に行く。 「ど?痛い?」 「ん~…ひま」 あたしはベッドに腰掛けた。 前川くんの病室は共同使用。 ほかのひとのしきりのカーテンはオープンなのに、前川くんだけぴっちり閉じてある。 「どうして閉めてあるの?開ければいいのに」 「どうしてって…」 あたしに手が伸びてきて、あたしを引き寄せた。 軽いいたずらのようなキス。 「なっ…!」