「なにした?」 「いえっ、べつに」 前川くんに言うとまたいろいろめんどくさそうだから言わない。 「ふぅん?あ、チケット2枚」 はぁっ? とあたしは先に並んでいる前川くんを見る。 「あたしのぶんとか、べつにいいし」 なんであたしは素直に喜べないんだろう。 かわいくない…。 「だって、デートじゃん」 「…いちおう」 「そのかわり俺が乗りたいやつだから!」 ぐいっとあたしの手を引く。 やばい。 カンペキに前川くんに主導権握られてる。