「誰から?」
二宮くんが私を見る。
「…うん…知り合い…」
私は二宮くんから目を逸らして答えた。
「アイツだろ?」
「えっ…」
逸らした目線を二宮くんに合わせる。
「佐渡さんの態度見てたらわかるよ」
二宮くんがクスッと笑う。
"そうだ"と言ってしまっていいのか…。
教師と生徒の関係。
もし二宮くんが誰かに話してしまったら…。
もう言い訳するのは難しいかもしれない。
「安心して?俺、誰にも言わないから」
「二宮くん…ゴメンね…」
私は財布から500円玉を出してテーブルの上に置いた。
そして席を立とうとした時――。
二宮くんが私の腕を力強く掴んだ。



