テストも終わり、紗智と校門を出た時―。



「佐渡さん!」



男性の声で呼び止められた。


私と紗智が振り替えると、そこに立っていたのは同じクラスの男子。



「二宮くん…」



彼の名前は二宮和臣(ニノミヤ カズオミ)



「佐渡さん…ちょっといい?」



二宮くんが私たちの前まで走って来た。



「香澄…私、帰るね」


「えっ…紗智…待ってよ…」



目の前には笑顔の二宮くん。



「私、お邪魔みたいだからさ。香澄、二宮くんバイバイ」


「ちょ…紗智!」



紗智はニッコリ微笑むと、そう言って1人で帰ってしまった。


二宮くんとは全く話したことないし…。


何の用事なんだろう?



「ここじゃなんだから…。お茶でも飲みに行かない?」



二宮くんはそう言って、私の返事を聞く前に歩き出した。