「あの…実は…」



私が本当の事を言おうとしたその時―。



「校長、知らなかったんですか?」



先生がそう切り出した。



「何がだね?」


「僕、実は双子なんですよ。それも一卵性の。親も間違えるくらいそっくりなんですよ」



ビックリして先生の顔を見た。


校長も驚いた顔をしている。



「これ弟です。弟が最近、高校生の彼女が出来たって言ってたんですけど、まさか佐渡だったとは…。僕もビックリですよ」



先生がクスクス笑う。



「本当かね?」



校長が私の方を見る。



「…えっ…あ…はい…」



私は嘘をついた。


この嘘を校長が信じてしまえば、先生も私も学校を辞めなくて済む。



「じゃーこの写真の人物は櫻庭先生じゃないんだね?」


「はい」


「わかった。2人共帰って結構です」



校長は机の上に置いてあった写真をゴミ箱に捨てた。



「「失礼しました」」



私たちは校長室を後にした。